ギャラリー文化の発信基地CADANの挑戦は続く　小山登美夫セレクション “MEMORIES 02”展

Written by ART Driven Tokyo

入りやすい路面でアーティストのチャレンジ精神を紹介、有楽町ビル建て替えで活動に区切り

東京・有楽町ビル１階を基地に、現代アートギャラリー文化を発信してきた一般社団法人日本現代美術商協会（CADAN: Contemporary Art Dealers Association Nippon）の「CADAN有楽町」が、有楽町ビルの建て替え・閉鎖のため、その活動にいったん区切りをつけることになった。国内の約50ギャラリーが所属し、三菱地所株式会社と一般社団法人カルチャー・ヴィジョン・ジャパンの協力を得て活動してきた。「丸の内、有楽町というオフィス街の路面という絶好のロケーションで、気軽に入れて、アーティストたちの思考や思想、制作に対する真剣さや新しいことにチャレンジしていく勇気を見てもらえれば」と、メンバーギャラリーが2〜３週間ごとに交代で展覧会を企画してきた。

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日本の現代美術商の願い「美術史のなかにアーティストを着地させたい」

「美術史のなかにアーティストを着地させたい」という願いのもと、現代アートに対する理解・支援体制が十分とはいえない日本社会のなかで、美術商は、美術作品を販売し、利益を上げることによって、アーティストを育て、マーケットを開拓してきた。2023年9月20日(水) – 10月8日 (日) に行われた”MEMORIES 02″ selected by Tomio Koyama展は、日本のトップギャラリストの一人、小山登美夫ギャラリーの小山登美夫のキュレーションで行われた。18のメンバーギャラリーから1点ずつ出品された。

シックで粒ぞろいの作品たちが、主張し、調和する

取材に訪れた日も、近隣の会社員とみられるアートファンが訪れ、熱心に、粒ぞろいの作品群に見入っていた。いつもの小山登美夫のテイストとはまた少し違う、シックで愛らしい小品たちひとつひとつが、際立った個性を主張していた。

「箱の中〜記憶の稜線を歩く〜」藤原康博 2015、石膏・段ボール箱、50×50×55cm、モリユウギャラリー（写真手前）。何が入っているのだろう、と段ボール箱の中を見たら、山のようなものが登場する。箱庭的な面白さがある。

「ちょいちょいすいすい」田中秀介2023年、Oil on canvas、60.5×50cm、LEESAYA（写真上段の真ん中）は、光の表現が巧みだ。画面を光らせるには高度な技術が必要で、光っていないものを光っているように見せるテクニックに脱帽。

写真左の4つは、デイヴィッド・シュリグリーのイラスト風のカリカチュア的表現が効いている（Yumiko Chiba Associates)。

「Stupa」八木良太 2023年、スピーカーユニット、アンプ、オーディオプレーヤーほか、26×12.5×12.5cm、無人島プロダクション(写真右端）。仏塔から水の音がして、瞑想に誘われるようで、心地よい。

「栗ごはんの日」後藤靖香 2022年、pigment ink pen,crepas,canvas, 91.0×60.6cm（帝塚山ギャラリー）は、シンプルで味のある作品。

CADANは、今後も活動を継続し、「日本の現代美術の発展に寄与する」という目標に向かって挑戦を続けていく。

“MEMORIES 02″　アーティストと所属ギャラリー

秋山陽 Yo Akiyama（アートコートギャラリー）
池田龍雄 Tatsuo Ikeda（Fergus McCaffrey Tokyo）
植松永次 Eiji Uematu（Gallery 38）
北山善夫 Yoshio Kitayama（MEM）
川井雄仁 Kazuhito Kawai（KOTARO NUKAGA）
後藤靖香 Yasuka Goto（帝塚山ギャラリー）
設楽知昭 Tomoaki Shitara（Standing Pine）
デイヴィッド・シュリグリー David Shrigley（Yumiko Chiba Associates）
鈴木親 Chikashi Suzuki （KOSAKU KANECHIKA）
田中秀介 Shusuke Tanaka（LEESAYA）
寺崎百合子 Yuriko Terazaki （ギャラリー小柳）
藤原康博 Yasuhiro Fujiwara（モリユウギャラリー）
黃品玲 Pin-Ling Huang（nca nichido contemporary art）
水谷昌人 Masato Mizutani（Finch Arts）
八木良太 Lyota Yagi（無人島プロダクション）
吉本作次 Sakuji Yoshimoto（KENJI TAKI GALLERY）
樂雅臣 Masaomi Raku（イムラアートギャラリー）
李鎮雨 Lee JinWoo（東京画廊）

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CADAN問い合わせ

一般社団法人　日本現代美術商協会　事務局

Email: contact(at)cadan.org
*(at)を@に変えてご使用ください。

website: CADAN