Written by ART Driven Tokyo

Braille embossed on aluminum sheet, mixed media on wood, padauk wood frame, 37 x 25,5cm
Image rights ADAGP, 2025 Cécilia Andrews
彷徨いながら見つめる。混沌に宿る、人類の希望。
東京・神宮前、Gallery 38でセシリア・アンドリュース個展「Wondering and Looking」が開かれています。チリ生まれ、現在はフランス在住のアンドリュース。チリの軍事独裁政権下で育ちましたが、彼女の周囲は親密でリベラルだったといいます。そんな「美しい幼少期」と、政治がもたらす残酷さという矛盾を知ることから人生が始まりました。彼女の作品は、相反するものを衝突させながら中立点を探す旅のように見えます。

Plaster, marble powder, resin and graphite, 20 x 24,5 x 20cm
Image rights ADAGP, 2025 Cécilia Andrews

Copper leaf and mixed media on canvas, 54 x 65cm
Image rights ADAGP, 2025 Cécilia Andrews
モチーフとなるのは、頭部や手などの人体の断片。それは「人類の大きな愛」を語る象徴です。人は共感と優しさを持ちながら、同時に他者や多様性に対する無理解を併せ持ちます。その矛盾に目を背けず、むしろ受け入れようとする眼差しが、彼女の作品にはあります。
アルミに印字された点字たちは、「見ているつもり」の私たちに、触れることの重みを知らせるかのようです。視覚の不確かさが、指先の祈りへと変わるとき、私たちは本当に「見始める」のかもしれません。
洗練された造形と深い問いが共鳴するこの展覧会は、「新しい調和とは何か」を問いかけるのです。
展覧会情報

Mixed media and copper leaf on canvas, 180 x 140cm
Image rights ADAGP, 2025 Cécilia Andrews
タイトル:セシリア・アンドリュース” Wondering and Looking “
会期:2025年4月17日(木) – 6月1日(日)
場所:東京都渋谷区神宮前2-30-28
開廊時間:12:00-19:00
休廊日:月、火、祝日、5月16日(金)、5月17日(土)
変更の可能性あり。最新の情報は、SNSで。Instagram: gallery_38