見つめ返す「文明の象徴」

Selected by ART Driven Tokyo

Photo: wikimedia commons

生きているような、戻ってきた女神

静かに、そこにいる。
微笑む女。その名は、モナリザ。

ラファエロの聖母のような華やかさはない。
ミケランジェロの彫刻のような迫力もない。
だが、彼女には「沈黙の声」がある。

描いたのは、レオナルド・ダ・ヴィンチ
科学者であり、哲学者であり、芸術家。
彼は筆を持って、生命を描こうとした。

スフマート――輪郭を消す技法。
光と影を溶かすように。
肌は呼吸し、瞳は語りかける。

なぜ微笑むのか。
何を見ているのか。
観る者の心が、彼女の表情を変える。
それが、モナリザの魔法。

1911年、盗まれた。
世界は騒然とした。
失われた名画として、一躍伝説となる。

ルーヴルに戻ってきたとき、
彼女はただの絵ではなかった。
文明の象徴となった。

美しさは、静けさの中にある。
声なき声を聴くとき、
モナリザは、私たちに語りかける。

「私は、見る者そのもの」だと。

ART Driven Tokyoが選ぶ「美術史を変えた名画5選」①は、「西洋絵画の父」ジョット。彼の革命的精神について解説しています、ぜひご一読を!