Written by ART Driven Tokyo

『ササヤカナ生活ヲ守ル為ニ、』 (100cm×80.3cm)
Courtesy of the artist and TomuraLee

⾼松和樹個展「To fulfill your desires…. -欲望を満たすために…-」が、2025 年 5 ⽉ 30 ⽇(⾦)〜 6 ⽉ 14 ⽇(⾦)まで、東京・銀座のTomuraLeeで開催されます。現代を生き抜く少女をモチーフに、白と黒だけで表現される夢幻、幽玄の世界。国内外で高く評価されている作家です。

『私ノ為ダケニ』(33.3×24.2cm)
Courtesy of the artist and TomuraLee
『私ハコノ時代ヲ生キ抜キマス。』(72.7×60.6cm)
Courtesy of the artist and TomuraLee

ストレスだらけの時代に送るアンチテーゼ

高松氏による、展覧会に寄せたステートメント全文です。

To fulfill your desires….
些細な欲望すらも叶えられない時代へ送る作品。
私が学⽣の頃は物価も安く時間もあった。
暇を持て余しバイトをしそれなりに欲望を叶えることができた。
しかし今の学⽣たちを⾒ていると物価は上がり、やることが多すぎて時間が⾜りない。
ネットの登場など世の中が便利になれば、それに伴い時が加速した。
情報過多で1⽇にやることが多すぎる。
仕事、情報収集、効率化の勉強、スキル磨き、美容、⾃⼰啓発、etc.
やらなくてはならない当たり前のことが増えすぎた。
弱⾁強⾷の中やめれば世の中についていけない。
⼀昔前の普通の⽣活すら夢のまた夢。
そんなストレスだらけの時代に送るアンチテーゼを込めた作品。
服のレース模様は業務過多、情報過多を⽐喩し、物理的な制作作業量を⼤幅に増やした。
レースの透け感はスカスカな埋まらない⼼の⽋落感を表現。
私の⽭盾した作品表現、あえて最新テクノロジーを取り⼊れが余計に⼿間のかかる作業。
モチーフに隠した要素やタイトルの裏の意味を考えながらお楽しみいただけたら幸いです。

高松氏に3つの質問

ART Driven Tokyo: 目の黒い部分は、彫って、黒目を表現しているのですか? 伝統的な彫刻の方法ですね。
高松:はい! 彫刻の技法を参考に黒目と虹彩を掘り出しました。
色のない奥行きだけで製作する作品なので、黒目が表現できない問題を、立体的に掘り出すことで解決しました。

ART Driven Tokyo: 以前の作品には、顔に目鼻口がありませんでしたね。目鼻口を入れて以降、入れる前と比べて、ご自分のなかでの手ごたえはどうですか。お客様の反応は変わりましたか。
高松:表情など表現の幅が広がり評判は良いですが、過去の白目や色味の薄い作品などを好まれるお客様もいらしゃいますので、今回の個展ではご依頼作品として過去のバージョンに近づけた新作も合わせて展示いたします。

ART Driven Tokyo:現在の絵柄は、チェスでいうなら白いコマ。黒バージョンはあるのでしょうか。あるなら、見てみたいです!
高松:最初期の頃に一点だけ白黒反転の作品を作ったことがありますが、あまりパッとしなかったので(笑)、現在のスタイルに固定いたしました。

疲れてしまっている日本、見えない空気に押しつぶされそうな私たち。高松作品は、そんな社会に、美意識というメッセージを以て抵抗しているように思えます。センスと強さ、癒しをもらえる本展は見逃せません。

展覧会情報

展覧会名:⾼松和樹個展「To fulfill your desires…. -欲望を満たすために…-」
会期:2025 年 5 ⽉ 30 ⽇*(⾦)〜2025 年 6 ⽉ 14 ⽇(⾦)
10:30〜18:00(⼟曜⽇は 17 時まで)
*5 ⽉ 30 ⽇は銀座夜会のため 21 時まで
休廊:日、月
会場:TomuraLee 東京都中央区銀座 3-9-4 第⼀⽂成ビル 603
Instagram, X :@tomuralee