Written by ART Driven Tokyo

MUTEK. JP提供

電子音楽とデジタルアートを融合させたフェスティバル、「MUTEK.JP2023」が、2023年12月7日(木)~10日(日)の4日間、東京・渋谷で開催される。今年で8年目を迎える MUTEK. JP2023では、約55の国内外のアーティストが、実験的なオーディオビジュアル・ライブパフォーマンスを展開する。音楽イベントはライブハウス「SpotifyO-EAST」と「WOMB」で開催される。UKドラム&ベース界の重鎮 dBridgeの日本初ライブなど、MUTEK. JP2023でしか体験できないことが今年も目白押しだ。また、12月9日(土)、10日(日)の2日間、渋谷ストリーム ホールで、カンファレンスやワークショップも開催される。

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NPOが運営、カナダ・モントリオールが発祥。人間が生み出すコンテンツを重視

MUTEK JP 2022から アーティストSougwen Chungのパフォーマンス(MUTEK. JP提供)

MUTEKは2000年にカナダ・モントリオールで始まった。創業者はアラン・モンゴー。NPOであり、主にカナダ政府、ケベック州、モントリオール市などの助成金を中心に運営されている。商業化が著しい音楽フェス業界において、新しいコンテンツの創出支援をコンセプトに掲げ、自由で実験的な表現の場を提供する異色の存在だ。

今年のMUTEK. JP2023は、昨今の世界での紛争や気候変動など、人類をめぐる問題について深く考える。不条理の時代だ。日々、各人のSNSのタイムラインに入ってくる情報=現代社会であるのなら、それでいいのか? そのタイムラインは間違っているのではないか?

エンジニアも参加、アーティストとつながるコミュニティー

参加アーティストに、テクノロジーのリサーチャーやエンジニアも多い。MUTEKは初めて「ラップトップDJ(ノートPCを使ったDJ)」を披露したことでも知られる。モントリオールは北米のなかで経済的に成功している都市ではないというが、物価は安く、クリエイティヴな人たちが集まる気質があるという。

著名なアーティストの公演を人工的に、受け身で楽しむということではなく、アーティストとつながる、トップダウンでない、民主的なローカル・コミュニティーの創造もメインの目的のひとつだ。現在はモントリオールのほか、メキシコシティ、バルセロナ、ドバイ、サンティアゴ、ブエノスアイレス、東京の世界7都市で開催されている。参加するアーティストの半数は開催国になるように配慮され、女性アーティストの参加も活発で、ダイバーシティーも近年の特長だ。

MUTEK.JP 2023 [Nocturne 1] 第一夜 イタリアのデジタル芸術集団SPIME.IM、日本の「鼓童」、圧倒的な実験的パフォーマンス

tamanaramen(MUTEK.JP提供)
YPY & Kodo (鼓童) MUTEK. JP提供

出演:
YPY & Kodo (鼓童) [日本]
SPIME.IM – Grey Line [イタリア]
KUTIN & Patrik Lechner present ACHRONIC [オーストリア]
tamanaramen – 水辺の囁き [日本]
Daito Manabe[日本]

初日の12月7日は、goat の日野浩志郎によるソロ プロジェクト YPY と、40 年以上の歴史を持つ佐渡拠点の太鼓芸能集団・鼓童が共演し、最新ライブパフォーマンスを披露する。日本そのもの、日本の伝統芸術を力強く表現する鼓童とデジタル音楽の融合は、興味深い実験だ。 デジタルリアリティの肯定から生まれる美学と言語を探求するイタリアの芸術集団 SPIME.IM が初来日。

Peter Kutin と Patrik Lechner によるオーストリア人デュオが、AI ニューラルネットワ ークを使った A/V ライブセット「Achronic」を日本初演。また、ミュージシャン Pikam とビジュアルアーティスト Hana の実の姉妹によるオーディオビジュアルユニットtamanaramen が新作「水辺の囁き」を公開する。

SPIME.IM(MUTEK. JP提供)

youtube: SPIME.IM – ZERO19より

SPIME.IMは、環境問題や独裁政治の問題など、社会問題をテーマにするイタリア・トリノの芸術集団。バンクシーなどのアーティストにも通じる、メッセージ的なアート表現をする。

過去のパフォーマンスでは、AIでつくった3Dアートで、世界のどこかの都市を想起させる映像と音楽をミックス。プラスチックや、スプレー缶、食品ロスから出るごみに汚される地球を、モザイク様の画像で表現し、最後は、モザイクが小さくなっていき、消失する。衝撃的なメッセージが、音とビジュアルの完全調和で表現される。当日、こうした彼らの哲学がどう展開されるのかとても楽しみだ。

MUTEK.JP 2023 [Nocturne 1]

日 時:12 月 7 日(木)開場 18:00/開演 19:00/終演 23:00
会 場:Spotify O-EAST
料 金:前売スタンディング 7,500 円 *販売期間 11 月 10 日~12 月 6 日 U-25 4,000 円 [限定枚数]
当日 9,000 円
※パスポートでも入場可。※入場時ドリンク代別途600円 ※18 歳以上、入場可(写真付き身分証明書でID チェック有)

Tickets on sale: https://mutekjp.zaiko.io/item/359664

第二夜は多角的・実験的アプローチに焦点。モーションキャプチャでDJの動きを音と映像に

Sinjin Hawke & Zora Jones(MUTEK. JP提供)

出 演:

Sinjin Hawke & Zora Jones [カナダ/オーストリア]
Scotch Rolex & Shackleton + Pedro Maia – Death by Tickling – Live AV [日本+英国+ポルトガル]
Friday Night Plans + Leo Iizuka [日本]
食品まつり a.k.a foodman & Ramza + Kezzardrix [日本]
404.zero[ロシア]

12 月 8 日(金)の公演は、実験的で多角的なアプローチによるサウンドとイマーシヴなビジュアルに焦点を当てる。異端のミュージシャン Scotch Rolex こと Shigeru Ishihara と、巧妙なダブサウンドで知られる Shackleton のデュオが、今年リリースしたアルバム「Death by Tickling」を引っ提げて来日する。アナログメディアの限界と美学を拡張するポルトガルの映像作家 Pedro Maia と 共演する世界プレミアライブを公開する。

また、近未来クラブミュージックとインタラクティブ・オーディオビジュア ルの最先鋭、Fractal Fantasy 主宰の Sinjin Hawke & Zora Jones が、モーションキャプチャで 2 人の動きを 音と映像に変換する最新A/Vライブを披露する。

youtube: Zora Jones b2b Sinjin Hawke Boiler Room Bengaluru Budweiser DJ set より
 

Sinjin Hawkeはカナダ・モントリオール出身のDJ/プロデューサー。Zora Jonesはオーストリア出身のDJ/プロデューサー。世界で注目されているクリエイティヴ・ユニットだ。アメリカのシカゴにあるオンライン音楽メディアで、インディーズからメインストリームまで、新しい音楽を紹介するPitchforkのベストMIXにも取り上げられた。リラックスしたグローバルな音づくりは、日本にもファンが多く、注目パフォーマンスのひとつだ。

MUTEK.JP 2023 [Nocturne 2]

日 時:12 月 8 日(金)開場 18:00/開演 19:00/終演 23:00
会 場:Spotify O-EAST
料 金:前売スタンディング7,500 円 *販売期間 11 月 10 日~12 月 7 日 U-25 4,000 円 [限定枚数] 当日 9,000 円
※パスポートでも入場可。※入場時ドリンク代別途 600 円 ※18 歳以上、入場可(会場にて写真付き身分証明書のID チェック有)

Tickets on sale: https://mutekjp.zaiko.io/item/359664

第三夜。エレクトロアコースティックからメディアアートまで

Phew & Oren Ambarchi + Akiko Nakayama(MUTEK. JP提供)

 

出 演:
Phew & Oren Ambarchi + Akiko Nakayama [日本+豪州+日本]
Ida Toninato & Pierre-Luc Lecours – Homeostasis [カナダ・ケベック]
Black Boboi + Yanneek [日本+カナダ・ケベック]

12 月 9 日(土)の公演は、エレクトロアコースティックからメディアアートまでを繋ぐ。実験音楽シーンのレジェンド2人、コンポーザー/エクスペリメンタ ルギタリストの Oren Ambarchi と、もともとシンガーで、電子音楽家の Phew によるデュオの初ライブに、画家の Akiko Nakayama が”Alive Painting”で共演する。

youtube:【Digest】Alive Painting 2hours Solo ‘GIFUKEI’ exhibition at Tokyo University of the Artsより

Akiko Nakayamaは、絵の具の動きで、色彩と流動が持つエネルギーをオーガニックに表現する。過去のパフォーマンスでは、アメーバのようなものが豊かな色彩をもって動き、何かが誕生するような、パワーと癒しにあふれたビジュアルを展開した。テクノロジーだけでなく、人間=画家が表現するアートの重要さを感じ取ることができる。Nakayamaのパフォーマンスも今回の注目演目だ。

また、小林うてな、Julia Shortreed、ermhoi の 3 人から成る エレクトロニックグバンド Black Boboi が、2 枚のアルバム「Agate」「SILK」をアレンジしつつ新曲を合わせたパフォーマンスを披露する。また、カナダ・ケベックより、サックス奏者 Ida Toninato と、コンポーザー 兼ビジュアルアーティストの Pierre-Luc Lecours による A/V パフォーマンスを展開する。

MUTEK.JP 2023 [Nocturne 3]

日 時:12 月 9 日(土)開場 18:00/開演 19:00/終演 23:00
会 場:Spotify O-EAST
料 金:前売スタンディング 7,500 円 *販売期間 11 月 10 日~12 月 8 日 U-25 4,000 円 [限定枚数] 当日 9,000 円 ※パスポートでも入場可。※入場時ドリンク代別途 600 円 ※18 歳以上、入場可(会場にて写真付き身分証明書IDによる チェック有)

Tickets on sale: https://mutekjp.zaiko.io/item/359664

オールナイトプログラムにも実験的サウンドが続々!

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dBridge(MUTEK. JP提供)

MUTEK.JP × WOMB

出 演:
Jane Fitz [英国]
Sodeyama – live [日本]
Haruka [日本]
and more

恒例のオールナイトプログラム「MUTEK.JP × WOMB」は、12 月 8 日(金)、9 日(土)の 2 日間開催。初日 は、アシッド、スペイシーハウス、サイケデリックテクノ、トランス、アンビエントを織り交ぜた DJ に定評 がある UK の Jane Fitz が出演。加えて、Future Terror の共同主催者兼レジデントとしても知られる Haruka、テクノプロデューサーSodeyama がライブで出演。

日 時:12 月 9 日(土)開場・開演 23:00/終演 04:30
会 場:WOMB 料 金: 前売 3,000 円 *販売期間 10 月 17 日~12 月 8 日 当日 4,000 円 ※パスポートでも入場可。

Tickets on sale: https://mutekjp.zaiko.io/item/359664

出演:
dBridge – live [英国]
Shackleton – live [英国]
Itti & HAIOKA + strings VY – live [日本]
Lynne [日本]
and more

フェスティバルを締めくくる最後のプログラム、12 月 9 日(土)の「MUTEK.JP × WOMB」では、90 年代初 期から活動を続ける UK ドラム&ベース界の重鎮、dBridge が日本初ライブで出演するほか、Skull Disco 主 宰、ポリリズムトライバルの最高峰 Shackleton がソロのライブセットで登場。国内勢からは、東京拠点のプ ロデューサーItti と HAIOKA によるデュオがライブで出演。エクスペリメンタル、ドラム&ベース、テクノ周 辺の実験的サウンドの探求で知られるロンドンと東京を拠点に活動する Lynne が DJ で登場する。

最新技術を活用したXRエキシビジョン、国際色豊かなトークセッション、ワークショップ などのカンファレンスイベントも

Niantic Magical Forest GOLF(MUTEK.JP提供)

世界をリードする技術”3D/XRコンテンツ・ストリーミング・プラットフォーム” を提供するMawariとの共同企画イベント「MUTEK.JP Pro Conference in collaboration with Mawari」が、2023年12月9日(土)と10日(日)の2日間にわたって開催される。XR、AI、WEB3などの先端技術をトピックに、デジタルクリエーションに焦点を当て、体験価値を拡張するXRエキシビジョン、国際色豊かなカンファレンス、ワークショップなどの様々なプログラムを、渋谷ストリーム ホールにて展開する。

6Fメインホール 「Immersive Program」

渋谷ストリーム6Fメインホールでは、Mawariが提供する世界初のミクストメディア没入型XRインスタレーション「assimilating XR」を開催。コンテンポラリーダンスや斬新なデジタルアート、そして画期的なMR(Mixed Reality)技術がシームレスに融合した、驚異的な宇宙空間へと誘う。著名な振付家兼ビジュアルアーティストの梅田宏明氏によって制作されるこのエキシビションは、革新的なビジュアルアートツール「MXR」を取り入れ、没入型アートの展望を塗り替える、これまでにない先駆的な体験を実現する。

5Fホワイエ 「Conference Program」

XR、AI、WEB3などをキーワードに、デジタルクリエイティブに焦点を当てたトークイベントを12月9日(土)に開催する。Mawari創業者・谷田部丈夫を筆頭に、アーティスト、クリエイター、技術者、専門家、企業が一堂に会し、パネルディスカッション、キーノート、プレゼンテーションを通して、最新テクノロジーとアート、コミュニティーの役割と可能性、問題点を探る。12月10日(日)には、次世代型ウェアラブル・イヤホン型脳波計の開発とニューロテクノロジーの社会実装を行うVIE株式会社による、Abletonとのワークショップ、トークイベント、LIVEなど総合的なカンファレンスプログラム、VIE presents “Neuro Music – Dive into your brain”」を開催する。音楽およびクリエイティブなオーディオ ビジュアルプロジェクトに特化した革新的なクリエイターツール”MXR”のワークショップを10日午前のプログラムに予定している。MXRは、新世代のコンサートビジュアルのための新しいツールとして日本初登場だ。

4Fエントランスホール 「XR Program」

「Pokémon GO」を手掛けるNianticの提供する開発者向けARプラットホーム、「Lightship ARDK」及び「8th Wall」を活用した最新のMRコンテンツ「GOFL by Liquid City」と「Magical Forest by Designium」の2つの体験を提供する。また、XRの実験的プロジェクト/コミュニティであるNEWVIEWがMUTEK.JPとタッグを組み、グローバルアワードNEWVIEW AWARDS2022のファイナリストTomoro Kinoshitaによるデュアル鑑賞体験を提供するXR作品『Humarium』の展示も行われる。MUTEKモントリオールのプロデュースによる、最先端のXR技術を用いた新カテゴリーのオーディオビジュアルアート作品群『Immersive Collection』から、3つのVR作品を昨年に続き公開する。

Mawari(JP) 

2017年に東京・渋谷にて設立されたMawari社は、 8th Wall、BMW、 Ericsson、GSMA、 KDDI、Kohei Nawa、Immersal、Magic Leap、Netflix、Niantic、Qualcomm、Sapporo Breweries、T-Mobile.などの革新的な企業との提携の下、すでに世界中で40以上のXR体験の実装を成功裏に実現してきた。その中核となる3Dストリーミング技術と分割レンダリング技術(いずれも特許申請中)は、XR/メタバース業界の主要プレイヤーおよび投資家コミュニティーから大きな注目を集めている。

開 催 概 要

名 称:MUTEK.JP Pro Conference in collaboration with Mawari
日 程:2023年12月9日(土)~ 10日(日)
会 場:渋谷ストリーム ホール
時間:10:00 – 19:00
料 金
・6F メインホール 「assimilating XR」: 3,000円
・5F ホワイエ 「MUTEK.JP Pro Conference 2023」「VIE presents “Neuro Music – Dive into your brain”」: 無料
・4F エントランスホール 「GOFL by Liquid City」「 Magical Forest by Designium」
「NEWVIEW “Humarium” by Tomoro Kinoshita」「MUTEK.JP Immersive Collection」: 無料
主 催:一般社団法人MUTEK Japan, 株式会社Mawari
協 力:Niantic、VIE株式会社、Derivative – TouchDesigner、Ableton株式会社、ローランド株式会社、ソニーPCL株式会社、株式会社東京音響通信研究所、株式会社プリズム、NEWVIEW、MXR、 Shure
特別協力:渋谷ストリーム
後 援:渋谷区、ケベック州政府在日事務所
提 携:ヨコハマダンスコレクション2023
助 成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】
オフィシャルサイトhttp://conference.mutekjp.org/

編集部のひとこと

テクノロジー、ヒューマンアート、ダイバーシティー、社会問題、コミュニティー。現代社会を考えるうえで重要なキーワードが満載のMUTEK. JP。レジェンド的アーティストから、まだそれほど知られていないアーティストまで、多彩な内容だ。

MUTEK JPによると、欧米では、国や自治体が、無名の有望な新人を「ぜひ、MUTEK. JPでパフォーマンスさせてほしい」と推すことが普通だという。この最先端の文化交流イベントにより、そうした進取のマインドも日本に根付いていけばいいと切に願う。

開催概要

名 称: MUTEK.JP 2023 Edition 8
日 程: 2023 年 12 月 7 日(木)~ 9 日(土)
会 場: Spotify O-EAST、WOMB
料金: パスポート前売 25,000 円 販売期間 11 月 9 日~12 月 6 日 ※Spotify O-EAST 入場時ドリンク代 別途 600 円
※パスポートでは以下の全ての公演に入場可。
12 月 7 日(木)[Nocturne 1] Spotify O-EAST
12 月 8 日(金)[Nocturne 2] Spotify O-EAST
12 月 9 日(土)[Nocturne 3] Spotify O-EAST
12 月 8 日(金)MUTEK.JP × WOMB
12 月 9 日(土)MUTEK.JP × WOMB

主 催:一般社団法人 MUTEK Japan
協 力
:株式会社 Mawari
特別協賛:渋谷ストリーム
提 携:ヨコハマダンスコレクション 2023
後 援:渋谷区、ケベック州政府在日事務所、Federal Ministry Republic of Austria Arts, Culture, Civil Service & Sport、Austrian Cultural Forum Tokyo
助 成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】
オフィシャルサイト: https://tokyo.mutek.org/

チケット販売はこちら: https://mutekjp.zaiko.io/item/359664